スピリチャルでアートな日々、時々読書 NY編
スピリチャルでアートな日々、時々読書 NY編
インターナショナル・神道・ファウンデーションとニューヨークの美人神主さん
2008年7月2日水曜日
ちょっとしたきっかけでインターナショナル・神道・ファウンデーション(ISF)のオフィサー、太田垣さんと知り合ったので、お昼をご一緒することにしました。
ISFは、国際社会に神道を普及するために設立された協会です。ニューヨークでは、国連認定NGOのステイタスも持っており、全米を対象にした神道の普及のための講演、シンポジウム、その他の活動を行っているそうです。太田垣さんは、このニューヨークの唯一のオフィサー。と言うと、ちょっといかめしい感じの初老の男性を想像する人もいるかもしれませんが、実は、とても快活で魅力的な女性です。太田垣さんの経歴は、ちょっと変わっていて、以前は、外資系の航空会社のスチュワーデスをやっておられたとのこと。香港に住んでいたこともある国際派です。ご実家が神社であるということと、太田垣さんの言葉を借りれば、「海外に長く住んでいると、それまで意識していなかった日本の魅力に気づいて、これをもっと海外の人に紹介したくなった」ので、スチュワーデスを辞めて、國學院大學で改めて神道を勉強し、神主の資格を取ってISFで派遣されることになったそうです。うーん、世の中には本当にいろんな人がいるものですね。
「普段は、どんな活動をしておられるのですか?」と伺ったところ、ISFのオフィサーとして、いろいろな講演会やワークショップをアレンジしたり、ご自身でも大学で講演会を行ったりという活動をしておられるとのこと。同時に、神主としての活動もされているそうです。「ニューヨークで神主の活動」というのは、一体どういうものだろうと思ってさらに伺うと、とても興味深い答えが返ってきました。以下、簡単にご紹介しておきましょう。
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まず、日常的な活動として、日々の神事があります。毎日、自宅に設けた祭壇のお浄めをやります。床の拭き掃除から始まって、お水を変えたり、榊を定期的に変えたり、祝詞をあげたり・・・。それから、神道の年中行事もやる必要があります。月例祭から始まって大祓など、いろいろな行事を行います。
それから、お祓いや託宣などの依頼があれば出かけていきます。依頼する人は主に米国に住んでおられる日本人の方ですね。結婚式などの冠婚葬祭や、地鎮祭などが中心です。ご依頼があれば、運勢や手相の判断もします。
時には、本格的にお祓いをすることもあります。特に、ニューヨークでは、グランド・ゼロの周辺に住んでいる方からの依頼が多いですね。やっぱり、9.11の犠牲者の御霊がまだ鎮まっていないということなんでしょうか。幽霊が出たり、ポルターガイスト現象が起きるので祓って欲しいという依頼が時々あります。たまに、本当に強力な霊がいてお祓いするのが大変な時もあります。そう言うときは、きちんと祓うまでにすごく時間と手間がかかりますし、霊がついて来ちゃって自宅の祭壇のあたりをうろつくこともあります。まあ、祭壇の周囲だから害はないし、慣れちゃいましたけど・・・・。
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「え?。9.11の犠牲者の霊を鎮める???祭壇の回りに霊がうろつくけど慣れちゃった???」。
まわりで、ばりばりのニューヨーカー達が勢いよくビジネス・ランチをしている日本食レストランで、何事もないかのようにお祓いの話が太田垣さんの口から出てきたので、僕は、一瞬、我が耳を疑ってしまいました。ニューヨークみたいな超モダンな街でも、やっぱりこういう話ってあるんですね。太田垣さんにとっては、それはありふれた日常なんでしょう。くどいようですが、太田垣さん、普通に会話していたら、絶対に強力な地霊をお祓いする神主さんには見えません。ほんと、普通のOLという感じの人なんです。その人が、強力な霊との出会いのエピソードを話し始めたので、とてもびっくりしました。いやはや、世の中、ほんとにいろんな世界があるんですね。
僕は、チベット仏教に入る以前、一時、修験道にはまっていました。はまったと言っても、もちろん、修験者になる根性も体力もないので、大峰山や羽黒山の修行に参加したわけではありません。ただ、山岳宗教系の寺社は結構回りました。出羽三山、吉野・大峰山、天河、熊野三山、白山、戸隠、恐山、富士山、箱根、諏訪・・・。そうやっていろいろな聖地を歩き回っていて感じたことは、日本の山岳宗教は、決してアニミズムや自然崇拝などに還元される単純なものではない、ということです。日本の山岳宗教は、その土地の景観や地形を複雑なシンボル操作によって一つのミクロコスモスに仕立て上げ、その中で様々な修行を行うことによって、個人レベルでの心身の浄化・変容のみならず、そのミクロコスモス・レベルでも浄化・変容させようとします。そこには、とても複雑で洗練されたコスモロジーと象徴操作のシステムがあります。その方法論は、例えば、中国の風水思想や、チベットのボン教、各地のシャーマニズムなどの方法と共鳴しあう豊かな伝統を持っていると思います。でも、残念ながら、日本の神道は、国際社会で宗教として認知されているとは言えません。だから、太田垣さんのような人がどんどん海外に神道を普及し、いろいろな宗教との対話を通じてより神道が国際社会に受け入れられていけば、神道自身もまた、普遍化し豊かになっていくと思います。
ということで、今後の太田垣さんのご活躍に期待したいと思います。ちなみに、太田垣さんの自己紹介(写真付きです!)も、国際神道教会のサイトで観ることが出来ます。ご関心のある方は是非覗いてみてください。
戸隠神社、奥の院。今回は、掲載した写真と本文は何の関係もありませんので念のため。