スピリチャルでアートな日々、時々読書 NY編
スピリチャルでアートな日々、時々読書 NY編
オラファー・エリアソン再び
2008年5月29日木曜日
先日、PS1コンテンポラリーアートで開催されているエリアソン展の紹介をしましたが、今回は、マンハッタンのMOMAでの展示を紹介します。
PS1の方は、初期の写真やインスタレーションが展示されていて、エリアソンの知られざる一面を知ることが出来ましたが、MOMAの方は、もうメジャーな作品の目白押しでした。とにかく、光を使ったインスタレーションが次から次へという感じで展示されていて、とても贅沢。あまり説明の必要もないと思いますので、作品の写真をご紹介しましょう。
まずは、「I only see the things when they move」という作品。部屋の中央にプリズムのような光源が置かれていて、これがゆっくり回転していき、虹の光が部屋全体を覆うというもの。とてもきれいですね。観客も、プリズムをのぞき込んだり、部屋の壁を移ろっていく虹の光をゆっくりと追ったり、思い思いに作品が作り出す幻想的な光の世界を楽しんでいました。
続いて「Your strange certainty still kept」という作品。暗い部屋の中に、水滴がスクリーン上に落ちています。そこにストロボが連続して当てられていて、水滴の動きがコマ落としのように断続的に見えるという作品です。個人的には、僕はこの作品がとても気に入っています。水の香り、水滴の音、空気の湿り気、暗闇・・・という空間設計の中、ストロボの効果で、水滴が不思議な動きを見せます。とても幻想的ですし、何か、異界への扉が開かれている場所のような感じがします。なによりも、ストロボの光の点滅が、近くに働きかけてどんどん変容していく感覚が心地よいと思います。
実は、こういう空間や光の設計は、チベット仏教の修行法にも取り込まれていて、いろんな効果をもたらすのですが、この話を始めるとまた長くなりそうなので、とりあえず、次の作品を紹介しましょう。
次は「1立方メートルのライト」という作品。1メートル四方の立方体を光で造形しただけなんですが、写真を見ていただけるとわかるように美しいし、何か、その空間が特殊な空間に変容していくような感じがしないでしょうか。光は、世界にあふれていますが、エリアソンの目を通じて、それに少し手が加わることにより、ある種、神聖なと言っても良い空間がそこに生まれるのは、本当に不思議です。
ところで、エリアソンの展覧会は、結構、大規模に広報されていて、地下鉄のいたるところにエリアソンのポスターが貼ってあります。ニューヨークの地下鉄は、ごみごみしていて老朽化が激しく、結構汚いのですが、そこにとてもきれいなエリアソンのポスターが貼られているのは、少し不思議な感じがします。でもそれが良い効果を生み出しているようです。
この展覧会、日本でも開催されると良いですね。
MOMAのエリアソン展の入り口。通路全体が夕焼けのようなライティングで染まっている。ここから作品は始まっている。